JASPEHR(the JApanese Standard Platform for EHRs) 実装ガイド
1.0.0 - draft

JASPEHR(the JApanese Standard Platform for EHRs) 実装ガイド - Local Development build (v1.0.0) built by the FHIR (HL7® FHIR® Standard) Build Tools. See the Directory of published versions

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Official URL: http://www.hosp.ncgm.go.jp/JASPEHR/fhir/ImplementationGuide/jaspehr Version: 1.0.0
Draft as of 2025-05-19 Computable Name: JaspehrImplementationGuide

JASPEHRプロジェクト概要

JASPEHRプロジェクトとは


(JApan Standard Platform for Electronic Health Records:JASPEHR)
医療データを活かす、医療データが生きる。
電子カルテ情報を活用したリアルワールドデータ収集・提供基盤の構築事業

日本全国の電子カルテに蓄積された情報を集約し、医療分野の研究活動を促進する研究リソースシステムを構築するプロジェクトです。
「JASPEHRプロジェクトホームページ」より

JASPEHRプロジェクトの成り立ち

「電子カルテ情報を活用したリアルワールドデータ収集・提供基盤の構築に関する研究(通称:JASPEHR Project)」
NCGM医療情報基盤センター(CMII)を中心に他の5つのナショナルセンターと協力し、多くの施設の電子カルテに蓄積された電子的診療情報を効率的かつ効果的に集約した診療情報データベースを構築し、欧米並みに共用できる研究リソースシステムを構築することを目指しているプロジェクト(元々は6NC-EHRs利活用研究)から始まった。
そして今日では様々な事業・研究にて採用され、その適用領域を広げてきている。
参考:JASPEHRに関するプロジェクト

JASPEHRのコンセプト

JASPEHRの基本的なコンセプト

  • 疾患ごとにテンプレートを開発するのではなく、様々なテンプレートに対応できる仕組みを開発する
  • 疾患ごとのテンプレートをプログラムするのではなく、ルールに基づいてテンプレートを定義すれば、それが反映するようなプログラムを開発する
JASPEHRコンセプト図
図1 JASPEHRの基本的な考え方  

本コンセプトの通り、JASPEHRプロジェクトでは以下の流れにて情報を収集している

  1. EMRベンダーによらない汎用形式のテンプレート(Questionnaire)を作成し配布する
  2. 各施設ではベンダー側提供された機能によりそれを各社のシステムで使えるようにする
  3. それを用いて診療録を書いたら汎用的な形式(QuestionnaireResponse)で入力データが出力される

本仕組みはJASPEHRプロジェクトにおいて作成されたものであるが、現在はこの仕組みそのものを"JASPEHR"(以下、本書内でのJASPEHRは本仕組みのことを指す)と呼ばれている。現在までにがんゲノムプロジェクト、難病ゲノムプロジェクトにて採用されているが、今後様々なデータ収集事業での活用が期待されている。

JASPEHR Implementation Guideについて

JASPEHRでは各社共通のテンプレート定義および共通形式の出力として、HL7 FHIRにて規定されているアンケートであるQuestionnaireとその回答にあたるQuestionnaireResponseの対を採用している。 このQuestionnaireおよびQuestionnaireResponseはHL7協会のQuestionnaireのImplementationGuideに則り、それを継承する形でImplementationGuideを規定しており、それが本書である。詳細については* 「本ImplementationGuideのスコープ」にて解説する。

JASPEHRにおいては本ImplementationGuideに沿った記述をすることで各社が問題無く動作することが可能となることを目指しているため、JASPEHR対応システムは本ImplementationGuideに沿った記述に完全対応していることが期待される。

本 Implementation Guide のスコープ

JASPEHRの想定運用フローについて

JASPEHR プロジェクトでは、以下のような運用フローが想定されている。

work flow
図2 想定運用フロー  
  1. 本書で策定した Profile に基づき、情報収集用標準テンプレートとして Questionnaire を作成する。現時点では手書きで作成するか、JASPEHR HPでの公開を予定しているJASPEHR Editorなどのツールを用いて作成することを想定している。後者のツールは本書に準拠したQuestionnaireの作成、出力が行える予定である。(今後対応バージョンを明示して公開する予定)
    前者で作成した場合には何らかの手段でバリデーションを実施することが望ましい。バリデーションについても今後JASPEHR HPでの公開を予定している。
  2. 作成した Questionnaireを各参加病院に頒布する。現時点では、クラウドストレージに格納する、メールに添付する等、人手が介在した方法で頒布する必要がある。2022年度には配布の仕組みの試作を行ったが、その後の研究ではQuestionnaireを集めたポータルなどから各施設にてQuestionnaireをダウンロード出来る仕組みの構築を目指して対応を進めている。
  3. 各病院でQuestionnaireを電子カルテシステム、あるいはドキュメントシステム等の入力画面(テンプレート)形式に変換して各システムに登録し、使用できるようにする。(エンドユーザー(例:医師・看護師)は4.においてそれらを用いて患者情報を入力し電子カルテ、ドキュメントシステムに構造化診療記録として登録する。)そのためにベンダ各社は本検討で作成したProfileに基づくQuestionnaireをそれぞれの独自のテンプレート形式に変換するプログラムを作成する必要がある。各システムのオリジナルのテンプレート機能を利用せず、Questionnaireそのものをフォームとして描画し、ユーザーからの入力を行えるようにする場合は、独自の入力画面形式への変換は不要となる。2024年度時点においてはJASPEHRプロジェクトに参加している5社にて変換プログラムを製造し、実際に各社のシステムで利用して評価出来るようにいくつかの施設の本番系へリリースを実施した。
  4. エンドユーザーは3.にて登録した各社独自の入力画面もしくはQuestionnaire に基づいたフォームを用いて患者情報を入力する。電子カルテやドキュメントシステム等で入力を行う場合は、入力結果が既存のシステムのデータベースに構造化診療録として保存される。
  5. 記入されたデータがデータベースに保存されるとそのデータをQuestionnaireResponse形式に変換する。電子カルテ、ドキュメントシステムベンダ各社は、各テンプレートシステムへの入力値をQuestionnaireResponseへ変換するアプリケーションの開発が必要になる。(3.でQuestionnaireを電子カルテテンプレート形式に変換せず、また4.で直接 QuestionnaireResponse を作成する場合、この工程は不要。)2024年度時点においては同じく5社にてQuestionnaireResponseへの変換プログラムを製造し、実際に各社のシステムで出力されるようにいくつかの施設の本番系へリリースを実施した。
  6. 各施設で蓄積されたQuestionnnaireResponseは仮名化後、各病院から収集する。FHIRサーバ間でQustionnaireResponseをValidationしつつ収集できる仕組みの構築が望ましい。またQuestionnaireResponseだけでなくObservationやMedicationRequest、Conditionなど患者情報も合わせて収集してセンター側へ送信可能としている。

電子カルテ情報共有サービス対応に向けた考慮について

電子カルテ情報共有サービスではモデル事業運用開始および本稼働に向けて検討および各社の実装が進められている。またそれに向けて送信するFHIR定義の検討(電子カルテ情報共有サービス2文書5情報+患者サマリー FHIR実装ガイド JP-CLINS(CLinical Information Sharing ImplementationGuide))も並行して行われている。将来的にはJASPEHRが将来的にはこのサービスに組み込まれることが期待されるため、今後必須とされる項目など仕様を合わせる必要がある。
但し、現時点ではJP-CLINSは確定していないため必須対応の検討は2025年度以降とする。

タイトル 対象 内容
電子カルテ情報共有サービスに合わせて追加が必要と思われる element QuestionnaireResponse.meta
QuestionnaireResponse.Extension
・meta.lastUpdated : 最終更新日時
・ meta.profile : 電子カルテ情報共有サービスでは必須
・ extension( eCS_Department 電子カルテ情報共有サービス向けの診療科情報
・ extension ( eCS_InstitutionNumber ) : 電子カルテ情報共有サービスでは必須。医療機関番号10桁
JASPEHR の QuestionnaireResponse も必須にする方向であるが、現時点では必須としない。
Identifierにセットする値 QuestionnaireResponse.identifier 次の3つの文字列を半角ハット記号((^^)で連携した文字列。
? 保険医療機関番号 10 桁:
(内訳:都道府県番号2桁、点数表コード(医療機関区分)1桁、医療機関番号7桁
? 被保険者個人識別子:
(内訳:保険者等番号8桁、被保険者証(手帳)等の記号、被保険者証(手帳)等の番号、被保険者証等枝番2桁を半角コロンで結合した文字列)
最大 51 文字(全角 38 文字+半角 13 文字、全角 19 文字+半角 32 文字、または半角 51 文字)
? 報告単位のデータを医療機関のシステムとして医療機関内で一意に識別できる粒度の ID 文字列:
当該システムが当該患者データの中で一意性を保証できるよう生成した半角文字列(英大文字、数字、ハイフン記号のみ可)最大128 文字とすること。
JASPEHR の QuestionnaireResponse もこれらに合わせる方向であるが、現時点では変更しない。
電子カルテ情報共有サービスにおける必須のリソース QuestionnaireResponse.contained 電子カルテ情報共有サービスではcontained を使用して Practitioner 、 Encouner リソースを必須とする方針のようです。JASPEHR の QuestionnaireResponse も必須にする方向であるが、現時点では必須としない。


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